営業事務社員(男・30代)が長時間労働の継続により致死性不整脈を発症して死亡した事案の労災認定

事案と受任前

 本件は、営業事務社員(30代男性)が、営業社員がアパレルメーカーから受注してきたバッグ・アクセサリーなどのサンプル製造や本製品の製造を管理する業務に従事し、深夜に及ぶ長時間労働や休日出勤が継続したことにより疲労とストレスを蓄積させていたところ、2015年11月28日未明に帰宅し、同日の朝起床した後にシャワーを浴びている最中に浴室で倒れ、死亡した事案です。

 相談の段階で後輩の弁護士が当職に応援を求めてきたことから、代理人に就任しました。

弁護活動と結果

 後輩の弁護士が勤務先の社長に労働時間等の資料の開示を求めましたが、実態に合わない資料を提出してきたことから、資料の破棄、隠匿、改ざんのおそれがあるとして、東京地方裁判所に証拠保全の申立てをしました。裁判所より証拠保全の決定が出されて会社へ執行に赴いた当日、社長が資料提出を頑強に拒みましたが、弁護士が裁判官と協議し重ねながら一定の譲歩をしつつ、社長を強力に説得した結果、文書ファイル等の更新時刻や電子メールの送信時刻などのデジタル情報を中心に証拠を保全することができました。これらの資料を分析して労働時間を集計し、妻の陳述書も作成して、向島労働基準監督署に労災申請をしたところ、同署長は、2017年8月10日、労働災害(労災)と認定しました。

解決のポイント

 労災認定後に労基署を訪問して認定理由を聞いたところ、長時間にわたって80時間を超える残業が認定されたとの説明を受けました。当職より、会社が証拠保全後に資料を破棄していた中で労働時間を認定した根拠を質問すると、保全した証拠であるデジタル情報や同僚の事情聴取により認定したと回答しました。担当者は、弁護士が最初に証拠保全をした意義が大きいと述べましたが、本件が労災認定されたポイントはまさにこの点にあります。

 証拠保全は裁判手続ですので、弁護士しか代理人に就けません。遺族が早めに弁護士に相談をし、弁護士が会社の態度を見極めた上で迅速に証拠保全の申立てをしたことが勝敗に分かれ目であったと考えます。

 

過労死(労災保険)に関するその他解決実績

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