長時間労働防止の前提となる労働時間の適正な把握

 労働安全衛生法は、労働基準法から枝分かれをした法律であり、労働条件の最低基準を定めたものですが、事業者には「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保する」(3条1項)ことが求められています。

 「働き方改革」の一環として、労働安全衛生法と労働安全衛生規則が改正され、長時間労働者に対する医師による面接指導の要件が、1週40時間超の時間外・休日労働時間数1か月当たり80時間超に引き下げられます。

 これと同時に、労働安全衛生規則に基づき、事業者は、労働時間の把握を客観的な方法(例:パソコンの使用時間、ICカード)による義務が課されることになります。これは全ての労働者が対象となりますから、管理監督者や裁量労働制適用対象者であっても、事業者は労働時間把握義務を負います。

 ところで、過労死等調査研究センターの分析結果によれば、労働時間把握の正確性が与える影響度につき、「正確に把握されていない」を0《基準》とした場合、「あまり正確に把握されていない」が、①週の残業時間-2.21、②年間の年休取得日数0.38、③メンタルヘルス状況-0.76、「概ね正確に把握されている」が、①-5.19、②1.23、③-1.35、「正確に把握されている」が、①-6.13、②1.93、③-1.65となっており、労働時間が「(あまり)正確に把握されていない」群よりも、「(概ね)正確に把握されている」群の方が、週の残業時間は短く、年休取得日数が多く、メンタルヘルス状況が良好である傾向が見られました(2017年版過労死等防止対策白書第3章参照)。

 これまでは自己申告制により労働時間の把握が必ずしも正確になされてこなかったとしても、今後は労働時間把握自体がコンプライアンス上も適正に実行されなければならなくなったのですから、長時間労働を是正して労働者が健康に働くために、労働組合としては、団体交渉や衛生委員会において、事業者に対し、労働時間を適正に把握することを要求していくことが重要です。

 それだけでなく、労働組合自身も、職場アンケートや職場巡視により職場の勤務実態を把握した上で、これを労働者に周知する取組みをするとよいでしょう。

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