ストレスへの気づきと対処のための相談活動の充実

 東芝事件・最高裁平成26年3月24日判決は、プロジェクトリーダーが長時間労働や業務負荷によりうつ病を発病して休職した事案につき、「使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っている」と述べています。すなわち、労働者が長時間労働に従事している場合、使用者は、労働者からの申告がなくても、適宜、勤務実態を調査し、労働時間数を把握して、長時間労働を是正して健康障害を起こさないようにする安全配慮義務を負うということです。

 事業者は、労働者の勤務実態や健康状態を把握するために相談体制を確立することが急務です。2015年7月24日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」は、「相談窓口は、単に設置するだけではなく、労働者のプライバシーに配慮しつつ、必要な場合に労働者が躊躇なく相談に行くことができるよう環境を整備していくことが必要である」(第3・2)と述べており、労働者個人の勤務実態や健康状態を把握するために相談の体制や環境を整備することは安全配慮義務の内容になるといえます。

 ただ、事業者が相談窓口を設置して労働者から相談を待つだけでは功を奏しません。管理監督者や衛生管理者(衛生推進者)が職場巡視をして、日頃から労働者に声掛けをすることが必要です。相談活動を充実させ、高ストレス者やメンタルヘルス不調者の勤務実態や健康状態に関する「変化」を見逃さず、その労働者がストレスに気づいて対処できるようにするとともに、職場でのサポートに結びつけていきましょう。

 この相談活動を事業者任せにするのではなく、労働組合にも相談窓口を設け、組合員だけでなく、職場で困っている労働者の相談対応をすることを検討してみてください。職場の組合員を通じて、積極的な声掛けをするとよいでしょう。このような活動をすることにより、職場の実態を把握することができるだけでなく、労働組合に対する信頼が高まり、組合加入にもつながると考えられます。

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