人身傷害の損害項目

 労災事故や交通事故などに遭って怪我を負い、怪我の治療のために入院や通院が必要になった場合、被害者は、加害者に対し、その治療費や慰謝料などの損害賠償を請求することができます。

 以下では、人身傷害による主な損害の項目を説明します。

1 治療関係費

photo490001 治療関係費は、災害によって受傷した怪我の治療費・入院費、入院雑費、付添看護費、また、通院するための交通費、将来の手術費などをいいます。

 治療費は病院の領収書や請求書があれば全額を請求することが可能ですが、過剰診療や高額診療などの場合においては、一定額以上の請求ができなくなる可能性があります。

 入院費についても同様で、入院費は一般病棟の室料が基準となっているため、個室を希望して高額な室料(差額ベッド代)を支払ったとしても、原則として室料の請求が認められない可能性があります。しかし、例えば、重篤な症状で入院する場合や他に病室の空きがなかった場合は、差額ベッド代を請求することが可能です。

 付添看護費は、職業付添人・近親者のいずれでも必要性に応じて請求することができます。後遺症の内容や程度によっては将来の付添看護費も認められます。

 通院交通費については、電車やバス、タクシーなどに乗車して通院した際の料金を請求することが可能です。しかし、タクシーを利用する場合は、被害者の住居から病院までの交通の便や怪我の症状などで公共交通機関を利用することが容易ではない場合に限られます。

 また、自家用車を利用して通院した場合は、住居と病院との往復にかかったガソリン代、駐車場料金、高速道路を利用した場合は高速料金などを請求することができます。

2 休業損害

 休業損害は、事故によって怪我を負った被害者が入院・通院期間に仕事を休んだことによる現実の収入減です。休業損害の計算に当たっては、事故前の1日あたりの収入と、療養が必要と診断された休業日数によって計算されます。

3 後遺症・死亡による逸失利益

 逸失利益は、後遺症を原因とする労働能力低下や死亡によって得られなくなった減収分です。被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位・程度および事故前後の稼働状況等を総合的に判断して算定します。

 後遺症とは、事故で負った怪我について適切な治療を受けたにも関らず、医学上回復が見込めないと診断された症状をいいます。医学上治療効果が期待できないと診断されることを「症状固定」といいます。

 後遺症には重度から軽度まで14等級に分かれており、この等級によって労働能力喪失率が違い、これに伴い損害額が異なってきます。例えば、作業中の機械で指を切断したり機械に挟まれたりした場合、両手の手指の全部を失った場合は3級、手の親指以外の手指の指骨の一部を失った場合は14級となります。

4 慰謝料

 入院・通院に関する慰謝料は、事故の人身傷害による入院や通院を余儀なくされた被害者が受けた精神的苦痛を金銭評価したものです。入院・通院の期間を基礎として、傷害の部位・程度および手術の有無・回数等を総合的に判断して算定します。

 後遺症・死亡に関する慰謝料は、事故の人身傷害により後遺障害を負い、または死亡した被害者が受けた精神的苦痛を金銭評価したものです。後遺障害についてはその等級、死亡については家族構成などによって金額が異なります。

5 労災保険給付と損害賠償責任との関係

 労災保険給付がなされた場合には、使用者はその支払われた限度で損害賠償責任を免れます。

 労災保険給付を損害賠償額から控除するとして、どの範囲まで控除するのでしょうか。 まず、裁判終結時に支給を受けることが確定していた額に限るというのが最高裁判例です。したがって、将来の労災保険年金は控除されません。

 労災保険は、法定の保険給付のほかに、社会復帰促進等事業として特別支給金や特別年金が支給されます。この社会復帰促進等事業の給付も損害賠償額から控除できないというのが最高裁判例です。

 また、慰謝料から労災保険給付を控除できないというのが最高裁判例ですので、慰謝料は全額使用者に請求することができます。

121003_SD0100001 適正な損害賠償金の計算については、弁護士に相談されることをお勧めします。

 弁護士に相談いただければ、被害者に代わって加害者との損害賠償の交渉を行います。特に交通事故の損害保険会社や労災事故の事業主との交渉では、損害賠償金の額が大幅に増額するケースも少なくありません。適正な損害賠償金の獲得を弁護士がサポートしますので、まずはお気軽にご相談ください。

弁護士による労災事故・過労死の損害賠償のご相談 事故の人身傷害による後遺障害・慰謝料の請求は、つまこい法律事務所にご相談ください。 03-6806-0265 受付時間:平日 9:00~18:30 (当日相談可能) JR御徒町駅より徒歩5分 ご相談の予約