会社から所定労働時間外に出張先へ移動するよう指示された

 会社から所定労働時間外に出張先へ移動するよう指示された場合、残業代は発生するのでしょうか。

 そもそも出張の移動は所定労働時間中に行ってもよく、この時間帯の移動は労働時間と認められるのが通常です。それなのに、会社が所定労働時間外に出張先への移動するよう命じる場合は、その必要性があるかどうかが問題となります。

 必要性がないとしたら、会社の業務命令が権利濫用として無効となることがあります。これに対し、出張先での用務との関係で所定労働時間外に移動する必要性があるとしたら、所定外の移動という会社の命令に従わないと、懲戒処分を受けることがあります。

 会社の命令に従うとき、荷物の運搬などで移動そのものが業務である場合や移動中に書類を作成するよう命じられた場合などは、出張の移動が労働時間と認められることがあります。労働時間と認められれば、残業代が発生します。

 荷物の運搬や書類の作成を命じられていないとしても、出張先の用務のため社用車を運転する必要がある場合は、社用車を運転する時間が労働時間と認められ、残業代が発生することもあります。なお、会社から明示の命令を受けていないとしても、業務上の必要性から社用車で商品や荷物を運搬する場合は労働時間と認められる可能性が高いです。

 休日に出張の移動をする場合も、荷物の運搬などで移動そのものが業務である場合や移動中に書類を作成するよう命じられた場合でなければ、労働時間と認められないことがあります。しかし、土曜日の朝から日曜日の夜まで出張先で用務があり、公共交通機関との関係で、金曜日の昼過ぎに出て、月曜日に昼過ぎに帰る必要がある場合は、所定労働時間中の移動は労働時間と認められるでしょう。

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