妻が離婚したときに婚姻時の氏を選び、新たに戸籍を作って子どもの籍も入れたものの、養育費も支払わない元夫(父)に愛想を尽かしたのと、妻自身が実家を継ぐこととなったので、子どもとともに婚姻前の氏に変更したいというとき、どのような手続をすればいいのでしょうか。
戸籍法107条1項は、「やむを得ない事由」があるときに限って家庭裁判所の許可を得て氏を変更することを認めています。親権者の氏の変更は、よほどの事情がないと許可されません。家庭裁判所の裁量にもよりますが、社会生活上、氏の変更をしなければならない真にやむを得ない事情があるとともに、その事情が社会的、客観的にみても是認されるものと認められれば、氏の変更が許可される可能性があります。
婚姻前の氏への変更については、実家を継ぐ必要がある、両親の介護等のため必要がある、氏の変更をしても弊害は生じないなどの事情があれば、「やむを得ない事由」があると認められる可能性は高いです。
氏の変更が認められたら、家庭裁判所の審判書謄本と確定証明書を添えて役所に届け出をします。
また、子どもが親権者と暮らすにあたり離婚した親権者の氏に子の氏を変更することは比較的簡単に許可されます。