うつ病を発病したので、勤務軽減の配慮をしてもらうため管理職に診断書を提出したところ、管理職が事前の同意もなく主治医に病状を問い合わせたとき、個人情報保護法違反になるのでしょうか。
個人情報保護法は、本人の病歴など不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する個人情報を「要配慮個人情報」とし、個人情報取扱事業者が、法定の例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得したり、第三者に提供したりすることを禁止しています。
要配慮個人情報には病状も含まれます。
企業は従業員や顧客・取引先の個人情報を取り扱いますので、個人情報取扱事業者に当たるのが通常です。そのため、管理職は部下の病状を主治医から取得する前に本人の同意を得なければなりません。ただし、あくまで同意の対象は取得ですので、同意を得ない問い合わせ自体が個人情報保護法違反とはなりません。
しかし、うつ病により業務に支障をきたしていないのであれば、上司が主治医の意見を聴取する業務上の必要性が低いこと、上司が部下に必要性を説明せず、また同意も得ていないことなどの事情を総合すると、部下の同意を得ずに上司が主治医を訪問して病状を聞くこと自体が、違法と評価される可能性があります。
そして、部下の同意を得ずに上司が主治医に病状を聞くことは、部下に精神的苦痛を与えることになりますので、これによりうつ病が悪化し、追加の治療費がかかった、休職して給与が支給されなかったという場合は、慰謝料を含む損害の賠償を企業に請求できることになります。