業務上の負傷をした場合の労災申請と認定

 仕事中に事故でケガをしたり命を落としたりしたら、労災保険金が支給されるのでしょうか。

 治療費や遺族への補償などの労災保険が支給されるためには、労災と認定されなければなりません。その要件は、▽被害に遭ったときに仕事をしていた、▽仕事をしていたために被害に遭ったという因果関係がある、の2点です。

 「仕事をしていた」について、例えば、勤務時間中でも職場を離れ、私用電話中にケガをした事故は労災にはなりません。一方、道路工事の作業員が道ばたで昼食中に自動車が突っ込みケガをした事故では、交通上の危険がある場所で休まざるを得なかった、つまり使用者の支配下にある状況だったとして、労災認定されました。

 「仕事をしていたため」について、第三者による犯罪に巻き込まれた場合、会社の支配外の力によるものなので、通例は労災とは認められません。出張帰りの会社員が新幹線の車内で覚せい剤を使った男に刺殺された事件がありましたが、会社員が出張結果を検討するために、座席を反転させ、同僚と話し合っていたことに男がいらつき、事件が誘発されたとして、会社の支配下での労働災害と判断されました。

 仕事中に事故に遭った場合は、会社が労災申請に協力することが多いですが、逆に「労災かくし」をしようとすることもあります。あくまで労災申請は被災者や遺族ができますので、会社が非協力であったとしても請求はできます。会社が労災に否定的な態度をとるといった場合は、弁護士が代理人になって交渉することはできます。会社が労災保険の請求書に事業主の証明印を押さないのであれば、その旨記載した上申書を添付して労働基準監督署に労災申請することはできますので、「泣き寝入り」する必要はありません。

 労災認定された後に、会社に損害賠償請求をするという場合も、今度は会社を相手として、弁護士が代理人となって交渉したり、訴訟や調停を申し立てたりすることになりますので、ご相談ください。

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