通勤中の事故が労災とならないケース

 会社の行き帰りに寄り道をすると、その内容や事情によっては、事故にあっても通勤災害とならない、という例もあるのですが、寄り道をしていなくても、会社と家との往復が通勤とみなされず、事故が労災とならないケースもあります。

 通勤というためには、仕事をするために会社へ行く、または仕事を終えたから会社から帰るという、あくまで仕事との関連性がないといけません。

 例えば休業日に、会社へ忘れ物を取りに行ったり、職場サークルの練習や集まりに行ったりするのは、仕事をするために会社へ行っているわけではないので、通勤とはなりません。

 その日に仕事があるとしても、例えば午後からの遅番勤務の人が、社内で運動をしようと朝から会社に向かう場合は、仕事というより、むしろ運動のために会社に行くと考えられるので、通勤とはいえません。

 これに対し、仕事に就く前に労働組合の集会に参加しようと、いつもより1時間半早く家を出て交通事故にあったケースでは、裁判で、通勤災害と認められました。1時間半という長さは、仕事との関連性がなくなるほどの長時間とは一般的にいえない、と判断されたからです。

 終業後、仕事以外の活動で居残った場合も同じです。あまり長くいると、帰宅と仕事との関連性は薄れ、会社でなくむしろその活動からの帰りと考えられます。

 長時間かどうかの境界線は、これまでの労働基準監督署の認定例から、およそ2時間と考えられます。

 労働組合の用事で会社に2時間5分居残った後、帰宅途中に交通事故にあった認定例では、仕事との関連性が失われたといえる時間を超えている時間がわずかだとして、通勤災害と認められました。一方、社内でお茶の稽古に2時間50分参加して退社、帰宅途中に暴漢に襲われて殺された例では、認められませんでした。

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