会社のメールサーバの移管中に会社メールを個人のメールアカウントに転送する設定をしたのに、サーバ移管後も設定を解除せずにメールの転送を受けたまま退職した場合、会社に対して損害賠償責任を負うことになるのでしょうか。
会社メールが営業秘密であり、これを受信・保持していたことが損害賠償の対象となるかが問題となります。
まず「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法や販売方法など、事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公に知られていないものをいいます。例えば、会社メールが、秘密であると明示されていて(社外秘、部外秘等)、閲覧者が制限されているなど、厳格な管理がされており、秘密として管理するように指示していたとすれば、営業秘密に当たります。このような秘密管理性がなければ、営業秘密には当たりません。
会社が損害賠償を請求するためには、営業上の利益が侵害されていなければなりません。営業秘密を保持していたとしても、使用したり開示したりするなど、情報を不正に使用したという行為がなければ、営業上の利益が侵害されたとはいえず、そもそも損害が発生していないと評価されるでしょう。
不正の利益を得る目的、または営業秘密の保有者に損害を加える目的をもって、不正な手段で会社メールを取得したのでなければ、損害賠償責任が認められる可能性は小さいです。
会社から損害賠償請求をされた場合、弁護士が代理人となって交渉することができますので、お早めにご相談ください。