会社が健康診断をしてくれない場合はどうすればいい?

 会社が従業員に健康診断をしてくれず、社長に実施を申し入れたら、「そんなものはやらない」と言われたといった相談があります。

 労働安全衛生法は「事業者は労働者に対し医師による健康診断を行わなければならえない」と定めています。常時働く従業員が1人でもいれば健診を受けさせる義務があります。「小さい会社だから」というのは、実施しなくてよい理由にはなりません。

 事業者は、最低でも年に1回、特別な業務の場合は半年に1回または配置換えの時に健診を受けさせなければならないのです。

 事業者が健康診断の実施を怠った場合、50万円以下の罰金が科されます。配慮せずに働かせて労働者が健康を損なった場合は、安全配慮義務に違反したとして損害賠償をしなければなりません。

 健診の対象となるのは、雇用見込みが1年以上(深夜業など特別な場合は半年以上)の労働者です。今後も雇用が見込まれるのであれば受けさせるべきでしょう。また、短期雇用でも、契約が更新されて条件を満たす見込みであれば対象になります。

 それでは、社長が「受けたいなら、自分の金でやれ」と言ってきたら、労働者は自費で検診を受けなければならないのでしょうか。健診の費用や賃金については、労働安全衛生法に書かれていません。しかし、厚生労働省の通達からすれば、健診の実施を事業主の義務としていることを考えると、費用は事業主が当然負担すべきであり、受診時間も賃金支払いの対象となる所定時間内にするべきです。

 健診で異常が見つかったら、二次健康診断や治療を受けるのは労働者の費用負担となります。高血圧など過労死につながる異常所見があったときは、「二次健康診断等給付」という制度を利用することができます。二次健診や医師による保険指導を無料で受診することができます。

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