店で仕事をしたら懲戒されるか?

 仕事中、企画を考えるために会社近くのファストフード店へ出かけたら、「さぼり」で懲戒処分を受けることになるのでしょうか。

 労働者には、労働契約上、所定労働時間中は誠実に仕事をする「職務専念義務」があります。職場を離れてファストフード店に行くことは、この義務に違反する可能性があります。

 懲戒になるのかどうかは、職務専念義務に違反しただけでなく、店へ出かける行為が他の従業員の仕事に支障を来たし、職場の秩序を乱すといえるかがポイントです。たとえば、毎日のように長時間、ファストフード店に入り浸り、それが原因で他の従業員の仕事が滞って職場全体に悪影響が出たなどの場合、懲戒となる可能性があるでしょう。

 ただし、懲戒処分は、収入が減ったり、職を失ったりすることがあります。労働契約法15条は「当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」と定めています。会社は懲戒処分に先立ち、当該従業員に詳細に事情聴取をして事実を確かめ、懲戒処分の内容や根拠を十分に検討する必要があります。

 社内に自動販売機がなくて水分補給が難しい状況であれば、ファストフード店で喉の渇きを癒やすことは、生理的に必要な行為ですので、職場離脱とはいえ、短時間であれば著しく非難されるとまではいえないでしょう。

 従業員が実際に企画を考えており、ファストフード店に行ったことを反省していれば、会社としては、懲戒処分を課さないという選択肢もあります。ただし、当該従業員がその後も店へ入り浸ることを続けていれば、次は懲戒処分の対象にすることはやむを得ないでしょう。

 労働者がごく短時間店に入って仕事をしただけなのに重い懲戒処分を受けたということがありましたら、訴訟や労働審判の申立てをしますので、ご相談ください。

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