事案と受任前
本件は、契約社員が、3~12か月の有期労働契約を14回更新して約5年間勤務してきたのに、2008年秋に発生したリーマンショック後の収益減少を理由に雇い止め(実質的な整理解雇)をされたことから、労働契約上の従業員たる地位の確認、未払賃金および違法な解雇による慰謝料の支払いを求めた事案です。
同期の弁護士から応援を依頼されて代理人に就任しました。
弁護活動と結果
東京地裁に訴訟を提起し、本人が持っていた資料を検討したり、本人から事情聴取をしたりして、人員削減の必要性、整理解雇を選択する必要性、被解雇者選定の妥当性および手続の妥当性がなく、契約社員の雇い止め(整理解雇)は違法であることを具体的に主張していき、これに基づいて本人や上司、人事担当者の証人尋問を行いました。
結論として、契約社員の雇い止め(整理解雇)が無効であることを前提にして、会社に未払賃金を支払わせて職場復帰をする和解を勝ち取ることができました。
解決のポイント
整理解雇では、経営悪化の実態、将来の業績予測、売上高、営業利益・経常利益や利益準備金の推移、役員の報酬減額等について、財務諸表などを具体的に分析した上で、被解雇者の選定が妥当であったのか、経営状況に関する説明が解雇前になされたのかを検討します。本件においても会社の経営状況等を詳細に分析して主張し、証人尋問に臨んだことが解決のポイントであると考えます。
なお、いったん解雇または雇い止めされた労働者が職場復帰することは困難であり、当職が受任した事件でも職場復帰後に短期間で退職したケースがあります。本件では、もともと職場で必要とされていた人材であったこともあり、スムーズに職場復帰ができましたので、担当弁護士としても喜ばしい限りです。
なお、依頼者よりコメントをいただきました。詳しくは「依頼者の声」をご覧ください。