道路工事現場監督(男・30代)が長時間労働により致死性不整脈(心停止)を発症して死亡した事案の労災認定

事案と受任前

 本件は、道路工事現場監督(30代男性)が、深夜に及ぶ長時間労働が継続したことにより疲労とストレスを蓄積させ、2007年5月9日に勤務を終えて自宅に戻った後に致死性不整脈(心停止)を発症し、翌日死亡した事案です。

 過労死110番に相談があり、当職が代理人に就任しました。

弁護活動と結果

 まず調査として、被災者が自宅に保管していた勤務時間状況報告書だけでなく、携帯電話の発信時刻、ETCカードの使用時刻及びパソコン・ファイルの更新時刻も分析し、労働時間を算定しました。同僚からは、弁護士ではなく、被災者の妻であれば事情聴取に応じるとの回答を得たことから、質問事項を作成して妻にレクチャーし、また聴取した内容について報告書を作成しました。妻の陳述書も作成して、江戸川労働基準監督署に労災申請をしたところ、同署長は、2010年1月19日、労働災害(労災)と認定しました。

解決のポイント

 長時間労働は記録上算定することができましたが、それだけでなく、同僚の報告書や妻の陳述書により、被災者の業務内容や、クレーム処理・工程の遅延による精神的なストレスもあったことを明らかにしました。被災者は年末年始及びゴールデンウィークに休暇を取得していましたが、調査した労働実態を裁判例に照らして考察し、恒常的に長時間労働に従事し、精神的緊張が持続していた被災者にとっては、休暇を取得した程度では疲労回復には至らなかったことを主張しました。

 長時間労働が認められる事案であっても、弁護士が必要な調査を実施した上で、不規則勤務や精神的ストレスなど労働の質も総合して労働災害(労災)と認定されるべきであると主張していくことが重要です。

過労死(労災保険)に関するその他解決実績

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