葬祭用仕出し料理の営業課長(男・40代)が長時間労働によりくも膜下出血を発症して死亡した過労死事案の労災認定

事案と受任前

 本件は、葬祭用仕出し料理の営業課長(40代男性)が、通夜会場の訪問・作業、料理追加注文の対応、葬儀社の接待などにより、恒常的に長時間労働や公休日の出勤、連続出勤をし、さらにクレーム対応や人員不足により精神的ストレスを受けていたことから、2000年6月13日にくも膜下出血を発症して死亡した事案です。

 行政訴訟を提起するに当たり、同期の弁護士が当職に応援を求めてきたことから、代理人に就任しました。

弁護活動と結果

 結論として、労働災害(労災)と認定した勝訴判決を得ることができました。

 本件では、労働時間数を明確に算定することができずに推計をしたのですが、このほか、取得した休日数、連続勤務の回数と日数、連休の回数と日数などを数えて、休日のない連続勤務が長く続いており、その間の疲労を回復するだけの休日を取ることが困難であったことは、疲労回復を妨げ、業務と発症との関連性をより強めることになると主張しました。

 東京地裁平成20年3月24日判決(労働判例962号14頁)は、「休日の取得状況を見ると、規則的に取得できず、休日数自体が少ないばかりか、連休が少なく、しかも連続して勤務に当たる結果となっている場合が多いものである」と認定し、「疲労を十分に回復できるだけの休日を取得できなかったことを意味する」と判断しました。

 労働時間だけでなく、管理職の精神的ストレスを丹念に拾い上げていき、判決では精神的ストレスが認められ、労災認定されました。

解決のポイント

 訴訟では、証言を約束していた取引業者が後に証人として出廷することを拒んだので、不利となりましたが、上司である役員に対し、過重な業務による負荷だけでなく、会社の安全配慮義務違反を基礎づける事実を証言させ、劣悪な職場環境のもとで就労していたことを裁判所に印象づけて劣勢を跳ね返し、労災認定を勝ち取ることができました。

 労働事件では会社側証人の反対尋問の結果により勝敗が決まることがありますが、その典型例といえましょう。

過労死(労災保険)に関するその他解決実績

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