電話会社の開発担当者(男・20代)が長時間労働により自殺した事案の労災認定

事案と受任前

 本件は、携帯電話のデジタルカメラや音楽ダウンロードサービスの開発担当者(20代男性)が、恒常的に深夜勤務や徹夜勤務を伴う長時間労働に従事したことにより疲労困憊となり、2001年3月1日に縊死(自殺)した事案です。

 両親より過労死110番に相談があり、当職が代理人に就任しました。

弁護活動と結果

 まず調査として、会社に対して資料の開示を請求するとともに、友人6名(高校や大学の同級生、大学時代のアルバイト先の友人)から事情聴取をして陳述書を作成しました。両親の陳述書も作成しましたが、深夜まで勤務したときは会社近くのカプセルホテルに宿泊していたとの供述に基づき、宿泊していたカプセルホテルと日付を特定しました。必要な証拠を揃えた上で、三田労働基準監督署に労災申請をしました。

 その結果、三田労働基準監督署長は、2004年、被災者が長時間労働により強度の心理的負荷を受けたことから自殺したことを肯定し、労働災害(労災)と認定しました。

解決のポイント

 カプセルホテルの宿泊日については、当職が所属する東京弁護士会より対象となるカプセルホテル4件に対して宿泊者名簿の提出を請求しました。内1件より宿泊の事実があるとの回答を得ましたが、宿泊者名簿が倉庫に保管されているとのことでしたので、当職がホテルに行き、倉庫に埋もれていた被災者の宿泊者名簿3通を発見しました。これにより自殺直前に宿泊していたとの両親の供述を裏付けることができました。

 タイムカードなどの客観的な証拠はありませんでしたが、宿泊者名簿の発見により両親の供述の信用性が高まり、長時間労働が肯定されて労災認定に結びついたと考えられます。

過労死(労災保険)に関するその他解決実績

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