建設現場監督(男・40代)が長時間労働により、くも膜下出血を発症して高度の後遺障害を負った事案の労災認定

事案と受任前

 本件は、建設現場監督(40代男性)が、マンション建設現場を担当し、監督だけでなく、土工業者の手伝いや清掃をこなし、夜は現場近くの事務所で建築図面を作製して、1日平均12時間超の長時間労働に従事していたことから疲労を蓄積させ、発症当日の1998年12月4日、午前7時から午後9時30分まで建設現場で監督業務に従事して午後10時頃に夕食をとっていたところ、くも膜下出血を発症した事案です。

 先輩の弁護士が当職に応援を求めてきたことから、代理人に就任しました。

弁護活動と結果

 まず着手したのは、勤務していた会社の社長への説得でした。早速、会社を訪れて、社長に対し、「労災認定に協力してほしい」と何度も説明し、理解してもらいました。

 それから、①社長に、労働実態を証する書面(日程表、図面、今まで担当してきた現場一覧表等)を提出させる、②一級建築士に各図面の作製に要する時間等について話を聞く、③建設現場で一緒に働いていた作業員に話を聞きに行って陳述書にまとめる、④くも膜下出血の手術を担当した医師の意見書を作成してもらう、等の証拠収集活動を行いました。

 また、タイムカード等がなかったため、労働時間を証するための資料を作成しなければなりませんでした。そこで、1998年9月から12月までの現場のスケジュール等を盛り込んだスケジュール表を作成し、妻に、その表に夫の出勤時間、帰宅時間、残業時間、所定労働時間、実労働時間、通勤時間、総労働時間、睡眠時間等を書き入れてもらいました。何度も妻を法律事務所に呼んで打ち合わせを重ねながら、根気強く労働時間を算定していきました。

 このような調査を経て船橋労働基準監督署に労災申請をしたところ、同署長は、2001年4月、労働災害(労災)と認定しました。

解決のポイント

 本件が労災認定された理由は、社長の協力を取り付けることができたこと、関係者への地道な聴き取り等をしたこと、労働時間を直接証する証拠がなくても途中であきらめずに取り組んだことにあると考えられます。

 特に船橋労基署の職員が社長から聴き取りをしたのですが、このとき、労災申請前に社長にありのままの労働時間を申告させていたのが、労災認定に繋がったものと思われます。

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