20代女性がフォークリフトに右足首を轢かれ、後遺障害を負った事案

事案と受任前

 本件は、営業事務の新入社員であった被災者(20代女性)が、倉庫内に立ち入って停止中のフォークリフトの左後方から接近し、運転台左横に置かれた発送指示受け用紙に追加注文の内容を記入しようとしたところ、フォークリフトが急に後進し、被災者の右足を左側後輪で轢いたことから、腓骨や中足骨等を骨折した事案です。

 右足関節の可動域制限等の後遺傷害を負い、長時間の歩行や通勤ができなくなっただけでなく、患部に醜状痕があり、若年の女性として私生活の制限も受けることになったことから、当職が代理人に就任して会社に損害賠償請求をすることにしました。

弁護活動と結果

 東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起して、フォークリフト運転者の後方不注意だけでなく、会社が、フォークリフトとの接触の防止、後進時の警報装置の設置、営業事務社員の倉庫内に立ち入る際の安全靴の着用、倉庫内の通路の安全確保などの危険防止措置を講ぜず、また、フォークリフト運行中の倉庫内業務に関する安全教育を実施していなかったとし、労働安全衛生法や労働安全衛生規則を駆使した安全配慮義務を構成する主張を展開しました。

 これらの主張を裏付けるため、労働基準監督署の労災認定や監督指導に関する記録を取り寄せ、会社から提出された資料も精査するとともに、尋問においては、上司や運転者が義務違反を否定できないよう尋問事項を構成し、本人に対してはリハーサルを行って会社や運転者からの反対尋問に備えました。

 その結果、会社と運転者との間で裁判上の和解が成立しました。

解決のポイント

 前述した訴訟活動は代理人として当然のことをしたものですが、本件では、単に自動車損害賠償保障法3条に基づく責任を主張するだけでなく、会社が新入社員に対して労働安全衛生法令に基づく措置を講じていなかったことを丁寧に主張したことから、裁判所の理解が得られたと考えています。そのため、被災者がフォークリフトの左後方から接近したにもかかわらず、過失相殺の割合が比較的小さい和解案が裁判所から提示され、和解が成立しました。

 なお、依頼者よりコメントをいただきました。詳しくは「依頼者の声」をご覧ください。

 

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