【事案と受任前】
不動産業者が他人名義の借地権付建物と一体で底地を売却することを目的として、土地を競落したものの、建物が相続人の共有となっており、建物に居住している一部の相続人との間で建物収去土地明渡の協議が難航したことから、先輩の弁護士から応援の依頼を受けて、当職が代理人に就任しました。
【弁護活動と結果】
まず地代が低く設定されていたことから、不動産鑑定士より継続賃料の鑑定評価を得て賃料増額請求の調停を申し立て、不調となると訴訟を提起しました。それとともに、借地権付建物の相続人の一人から建物の共有持分を買い取り、共有物分割請求訴訟も併せて提起しました。
すると、建物居住者である相続人が借地権付建物と底地との一括売買をすることに方針転換をしたことから、両訴訟が和解により終結しました。
そして、大手の不動産業者に競争入札を実施して、借地人と底地の所有者である不動産業者がいずれも多くの収益を得ることができました。
【解決のポイント】
当初は地代増額請求をテコに借地権付建物と底地との一括売買の協議をすることを計画していましたが、それでは借地人である一部の相続人が受け入れないことが判明すると、元地主に無断で建築した未登記建物の収去と敷地部分の明渡しや、借地権付建物の共有持分を取得した上で共有物分割の請求を検討し、必要な法的手続を執りました。同時に、建物居住者である相続人と交渉に応じる態度を示したことにより、ついに所期の目的どおり借地権付建物と底地との一括売買へと方針転換させることができました。