【事案と受任前】
建物所有者である高齢者より住居の2階部分を借り受けるに際し、居住者の個人名義で契約するものの、法人の事務所としても使用することを合意していたのに、これが詐欺または錯誤であることを理由に借家契約が取消または無効であるとして、また高齢者の子が介護するため同居することを理由に借家契約の解約を申し入れるとして、2階部分の明け渡しを請求されました。
知り合いの不動産業者より紹介を受け、当職が代理人に就任しました。
【弁護活動と結果】
当職は、文書をもって、契約書の記載から詐欺取消や錯誤無効は認められないこと、介護する子が1階部分で同居することは可能であるから自己使用を理由とした解約申し入れも認められないことを主張しました。
賃貸人は建物明渡請求訴訟を提起しましたが、当職が丁寧に反論しつつ、相当な立退料が支払われれば2階部分を明け渡すとの和解案を示したところ、建物所有者もこれを認めました。
借家人は事業でも使用していたことから、立退料を賃料の12か月分を超える金額とし、さらに引っ越し費用等の実費が掛かることから、その半額を先払いするとの和解が成立しました。
【解決のポイント】
当職から見て、賃貸人は法的に無理のある主張をしてきたのですが、これに適確に反論しつつ、明け渡しを前提にした現実的な解決案を模索したことから、早期に円満な解決ができました。
なお、借家人は転居先にて心機一転し事業に励んでいます。