事案と受任前
本件は、都立高校1年生(男性)が、水泳の授業中にスタート台から逆飛び込みスタート(両手先を伸ばし、体ごと斜めに水に入る動作)をした際、プールの底に頭部を衝突させ、頸椎粉砕骨折や頸髄損傷の傷害を負い、死亡した事案です。
先輩の弁護士から応援の依頼を受けて代理人に就任し、高校生の両親が、授業をしていた高校教諭の使用者である東京都に対し、安全保護義務の違反があったとして損害賠償請求訴訟を提起しました。
弁護活動と結果
結論として、東京都の損害賠償責任を認める判決を勝ち取ることができました。
東京地裁八王子支部平成15年7月30日判決(判例時報1834号44頁)は、「学校の水泳授業において逆飛び込みスタートを取り上げるについて、担当教諭には、生徒らに対し、逆飛び込みには深く水に入ってプール底に頭部を衝突させ、場合によっては頸椎・頸髄損傷をきたす危険性があることを事前に十分説明し、安全な飛び込み方を説明するとともに、上記のような危険性のある動作を具体的に説明して禁止し、安全な飛び込み方法を各生徒の能力に応じて段階的に指導して、事故の発生を防止し、生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務がある」が、担当教諭がこの義務を怠ったと認定しました。
解決のポイント
訴訟では、逆飛び込みの危険性を指導すべき義務、安全な飛び込み方法を指導すべき義務および水深の浅いプールで逆飛び込みをさせてはならない義務の3つの義務違反を主張しましたが、東京地裁八王子支部判決はおおむね原告の主張を認めました。
そして、担当教諭がこのような義務に違反したことを丁寧に主張したことから、高校生の過失相殺が否定されました。
なお、依頼者よりコメントをいただきました。詳しくは「依頼者の声」をご覧ください。