高校の野球部練習中にバーベルを担いだまま倒れ込み、胸椎圧迫骨折等を負った学校事故事案の損害賠償

事案と受任前

 本件は、私立高校2年生(男性)が、硬式野球部のウェイトトレーニングにおいて、スクワットをする際に補助の部員が全くつかなかった状態で、高さ約132㎝のバーベル台より、140㎏のバーベルを肩に担いで、高さ約65㎝の平均台のある後方に歩くと、後方に転倒しそうになったので、体勢を前方に戻そうとしたところ、バーベルの重さに耐えきれなくなり、バーベルを肩に担いだまま前屈して倒れ込んだことにより、胸椎圧迫骨折と腰椎圧迫骨折の傷害を負った事案です。

 先輩の弁護士から応援の依頼を受けて代理人に就任し、高校生(当時)が、硬式野球部の監督と部長を雇用していた学校法人に対し、安全保護義務の違反があったとして損害賠償請求訴訟を提起しました。

弁護活動と結果

 訴訟では、監督と部長は、この両名またはトレーナーが部員のウェイトトレーニングに立ち合って監督し、バーベルを担いでスクワットをするときの正しいフォームを指導したり、補助者がつかないままでスクワットを開始した場合には直ちに中止させて補助者をつけるよう指導する義務や、部員がバーベルを担いだままバランスを崩して転倒しないよう、高さ調節が不可能な平均台をセーフティーバーの代用にしている器具の使用を中止し、バーベルのシャフトが固定された器具を使用する義務を負っていたのに、これを怠ったと主張しました。

 その結果、学校法人が損害賠償金を支払う勝訴的な和解を勝ち取りました。

解決のポイント

 本人と親、学校関係者、代理人の立ち会いのもと、ウェイトトレーニング場において、事故当時の状況を本人に説明させて、これをビデオ撮影してビデオテープを証拠として提出するとともに、本人の詳細な陳述書を作成して提出しました。

 高校は、事故後にバーベルのシャフトが固定されたまま可動する器具を購入しましたが、監督者や補助者がいないまま、古い器具でトレーニングをすると事故が起こることを裁判所に認識させたことが、和解が成立した要因であると考えます。

学校事故に関するその他解決実績

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