事案と受任前
50代男性が停止中の4トントラックの荷台で玉掛け作業中に、同車両のワイヤー付フックがオペレーターの操作ミスにより頭に落下して、高次脳機能障害を負いました。
労働災害の事案であり、勤務していた会社に安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をすることも考えられましたが、その会社が倒産していたため、当職が代理人に就任して、4トントラックでワイヤー付フックを稼働していたオペレーターとその使用者、そのトラックにかけられていた自動車保険の保険会社を相手に損害賠償請求をすることにしました。
弁護活動と結果
東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起して、訴訟中に、被害者に見られる症状や検査結果について高次脳機能障害を肯定する医師に面談し、医学意見書を作成してもらうとともに、否定的な見解を示していた医師には被害者の症状や検査結果を提示して高次脳機能障害を否定するものではないとの回答を得ました。その結果、2009年、高次脳機能障害があるとの前提で、東京地裁で勝訴的な和解を勝ち取ることができました。
解決のポイント
高次脳機能障害を肯定する医師には、医学意見書での記載内容を面談にて打ち合わせをし、高次脳機能障害に否定的な見解を示した医師には、症状や検査結果を丁寧に説明しました。積極的な肯定意見を引き出そうとするのではなく、少なくとも高次脳機能障害を否定はしないとの回答を引き出すことを獲得目標にして質問事項を工夫しました。