課長から一般社員に降職となり、減給された

年俸制契約で課長として勤務していたところ、ある業務上の問題が発生したため、課長から一般社員に降職(降格)になるとともに、月給制となって月に給与が10万円減額された場合、年俸契約期間中に降職(降格)をし、さらに減給することは有効なのでしょうか。

 人事権の行使としての降職(降格)は、懲戒処分の場合と異なり、使用者の裁量に委ねられており、就業規則や労働協約の根拠規定がなくても可能です。

 人事権といっても、その発生根拠は労働契約に求められますから、就業規則に合理的な規定があり、かつ周知されていれば、そこに定められている要件と効果を充足しなければなりません。

 特段の規定がない場合でも、人事権の行使は、あくまで労働契約の範囲内に限られるものであり、また、権利の濫用にわたる場合には無効となります。権利の濫用にあたるかは、業務上の必要性、不当な動機・目的、労働者の不利益という事情が認められるかどうかが問題となります。

 降職(降格)に伴い減給がなされるのであれば、その金額によっては不利益の程度が著しいということもあります。

 そもそも就業規則には降職・降格に伴う給与について規定されていないのであれば、降職・降格と減給が連動していないので、会社が労働者の個別同意がない限り減給をしても無効となります。

 ましてや年俸制契約の期間中であれば、労働者の同意がないのに減給することはできません。

 合理的な理由もないのに、降職・降格が行われた、それに伴い給与が減額されたという場合、労働審判や訴訟で争うことができますので、弁護士にご相談ください。

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