ここ近年、景気や業績に関わらず、リストラに取り組む会社が増えています。
職場で「不採算部門のリストラを進めなければならず、他の県の違う部署に異動してくれないか」と言われたものの、自分の全く経験したことのない職種で、家庭環境から転勤も難しく、意に沿わない配置転換(異動)だが、どうしたらよいかという相談があります。
その場合、まず自分と会社の労働契約を見直してください。他の仕事はしない専門職として入社したのか、転勤を前提としていない現地採用なのか、などです。そもそも会社は、労働契約と違うことは命令できません。
労働契約では配置転換(異動)があり得るとしても、内示を受けた段階で、会社側に配置転換(異動)の理由、業務上の必要性、なぜ自分が選ばれたのかを問いただしましょう。
どんな配置転換(異動)であっても、職場環境や人間関係が変わるのですから、労働者にとってストレスの要因になることは間違いありません。会社の説明で納得がいかないのなら、配置転換(異動)による不利益が生じると、多くの人が納得できる客観的な材料をそろえて言ってみることです。労働契約法は仕事と生活との調和を配慮するように会社に求めています。特に介護や子育てについては育児・介護休業法が会社に労働者の状況を配慮するよう求めているので、自分の健康や家族の問題点を言い、他の人に代わってもらうか、会社に転勤した際の必要な配慮を求めることが考えられます。
退職へ追い込んでいこうという「いじめ」的な配置転換(異動)もあり、裁判所が権利濫用と認めるケースがあります。
正式な異動辞令は業務命令なので、従わないと会社側から懲戒解雇されることもあります。いったん従った上で、納得できないと法的に訴えるのも一つの手です。
また、会社が業績不振に陥り、職場の上司から「辞めてくれないか」と言われたが、すぐに辞めないといけないのかという相談もあります。
会社を代表していない上司がぽろっと言った程度ではクビになりません。会社組織の決定がされ、辞令が交付されるのでなければ、解雇されません。慌てないで、退職勧奨なのか、解雇なのかを慎重に見極めた方がよいです。退職勧奨であれば、これに応じる義務はありません。一方、会社側の都合だけで一方的に社員を解雇することは制限されています。
配置転換(異動)の効力を争えるのか、退職勧奨か解雇かは、個別の事情を考慮して検討しなければなりません。資料をお持ちになってご相談ください。配置転換(異動)や解雇の効力を争う場合、ケースごとに訴訟がよいか、それとも労働審判がよいのかを検討しましょう。