妻が消費者金融会社数社から借金をしていることが発覚したとき、夫も借金を返さなければならないのでしょうか。
個人が高額な買い物やギャンブルなどの浪費でつくった借金は、保証人や連帯保証人になっていない限り、夫婦であっても肩代わりする義務はありません。妻が専業主婦で、使えるお金は限られているのに、ブランド品を好んで買い、高価な外食も頻繁にしていたというのであれば、妻の多重債務を夫が支払う義務を負うわけではありません。
これに対し、妻が「借金は生活費にも使った」といった場合、夫婦の生活費目的でできた債務は夫婦に連帯責任があります。これを「日常家事債務」といい、食費や公共料金、家族の医療費、教育費、娯楽費などが含まれます。返済を求められれば、夫も日常家事債務を返済する義務を負うことになります。
しかし、消費者金融会社はお金を貸すときに「日常家事」の費用にあてるとは考えていないのが通常です。業者は利息を取って営業することが目的です。生活費の一部に使われたとしても、夫が妻の借金を知らなかったとしたら連帯責任を負わないと判断した裁判例があります。
妻の浪費が理由で離婚をする場合、借金のうち生活費にあてた金額の支払いや離婚に伴う財産分与をするのであれば、書面を作成し、最後に「当事者間において、この書面に書かれた以外の債権、債務はない」と記載しておいた方がよいでしょう。話し合いがつかなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
消費者金融会社の契約書の見方や離婚の合意書の作り方は、契約書などの資料を直接見るなどして助言ができますので、まずはご相談ください。離婚協議の代理人になることもできますし、その後の調停や訴訟にも対応します。