事故や第三者行為災害による死亡・後遺障害と労災認定

仕事中に事故で怪我をしたり命を落としたりしたとき、労災認定されると、治療費や遺族への補償などを労災保険から支給されます。労災認定されるための要件は、①被害に遭ったときに仕事をしていた、②仕事をしていたために被害に遭ったという因果関係がある、の2点です。

 ①について、例えば、勤務時間中でも職場を離れ、私用電話中に怪我をした事故は労働災害(労災)にはなりません。一方、道路工事の作業員が道ばたで昼食中に自動車が突っ込み怪我をした事故では、交通上の危険がある場所で休まざるを得なかった、つまり使用者の支配下にある状況だったとして、労災認定されました。

 ②については、第三者による犯罪に巻き込まれた場合、会社の支配外の力によるものなので、通例は労働災害(労災)とは認められません。

 出張帰りの会社員が新幹線の車内で覚せい剤を使った男に刺殺された事件がありましたが、会社員が出張結果を検討するために、座席を反転させ、同僚と話し合っていたことに男がいらつき、事件が誘発されたとして、会社の支配下での労働災害(労災)と判断されました。

 1995年の地下鉄サリン事件でも、通勤災害だけでなく、多くの人が労災認定されました。被害者や遺族を救うことを重視して、因果関係を広く認めることもあるようです。

 仕事に伴う危険が実際に起きたような場合も、労災認定されます。9人が死傷した消費者金融会社弘前支店の放火事件も、①多額の現金を扱い、犯罪の対象となる危険があった、②社員らへの私的な恨みが原因とは認められない、などの理由から労災認定されました。

 仕事中に事故に遭った場合は、会社が労災申請に協力することが多いですが、逆に「労災かくし」をしようとすることもあります。あくまで労災申請は被災者や遺族ができますので、会社が非協力であったとしても労災申請ができます。会社が労働災害(労災)に否定的な態度をとるといった場合は、弁護士が代理人になって交渉することはできます。会社が労災保険の請求書に事業主の証明印を押さないのであれば、その旨記載した上申書を添付して労働基準監督署に労災申請することはできますので、「泣き寝入り」する必要はありません。

 労災認定された後に、会社に損害賠償請求をするという場合も、今度は会社を相手として、弁護士が代理人となって交渉したり、訴訟や調停を申し立てたりすることになりますので、ご相談ください。

労災保険に関するその他Q&A

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