職場トラブルによる暴行と労災認定

上司や同僚との口論がエスカレートして殴られ、怪我をした場合、労災認定されるでしょうか。

 職場トラブルによる暴行が、仕事に関連して起きたのなら、労災認定されます。ただし、個人的な恨みなど、当事者間の私的関係に原因がある場合は、労働災害(労災)とは認められません。被害者が必要以上に相手を侮辱したり挑発したりした場合も、自ら危険を招いたのであり、仕事との関連性はありませんから、労災とは認められません。

 職場トラブルによる怪我が労災認定されるかどうかは、暴行が起きた事情や経緯、時間や場所、被災者の職務などから総合的に判断されます。

 勤務中や職場での暴行は、仕事との関連性が強いと認められる場合が多いですが、勤務時間外や生活の場での暴行は、個人的な恨み、私怨によるとみられることが多いです。また、仕事が原因でも時間が経過すれば、私怨に転じると評価されます。双方が取っ組み合うケンカも、そうなった時点で仕事との関連性は失われ、私怨に発展したと考えられます。ただし、正当防衛は別です。

 過去の例で、建設現場の指揮監督をする部長が、大工の手抜きを見つけ、以前にも手抜きを注意し、2回目だったので、やり直しを厳しく指導したところ、大工が反抗したため口論となり、あげくに角材で殴られて怪我をしました。この職場トラブルは仕事との関連性があるとして、労災認定されました。部長の厳しい注意も、指揮監督という立場で、再度の注意だったなどの事情もあって、職務から逸脱していないと判断されました。

 一方、社長に命令されて部下の恋愛の仲裁に入った社員が、職場で部下の夫に殺された例は、社員の夫への屈辱的言動などによるもので、両者間の私怨が発展した結果と労働基準監督署では判断されました。しかし、不服審査の結果、社員は社長の指示によって社内の問題解決にあたったのであり、部下の夫は、職場の責任者として社員に問題解決を期待し、裏切られたと考えて殺したのだから、仕事との関連性があるとして、職場トラブルによる死亡は労働災害(労災)であると判断されました。

 職場トラブルによる暴行が労災認定されるかどうかは判断が難しいです。会社に業務上の暴行であったことを認めさせて、労災申請をします。会社との交渉や労働基準監督署への労災申請について弁護士が代理人となることができますので、ご相談ください。

労災保険に関するその他Q&A

弁護士による労災事故・過労死の損害賠償のご相談 事故の人身傷害による後遺障害・慰謝料の請求は、つまこい法律事務所にご相談ください。 03-6806-0265 受付時間:平日 9:00~18:30 (当日相談可能) JR御徒町駅より徒歩5分 ご相談の予約