1日の労働時間は休憩時間を除き実働8時間ですが、実労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、客観的に判断します。
手待ち時間とは、作業の途中で次の作業を待って待機している時間をいいます。
待機中に労働者が自由に時間を使えるわけではなく、現実に労務の提供をしていなくても、使用者の作業開始命令があればいつでも作業を開始しなければなりませんので、手待ち時間は、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」に当たります。
例えば、道路工事の警備員が工事が始まる30分前に現場に着いて会社に連絡するよう指導されているだけでなく、午前8時前に工事現場での事故が発生した場合は警備に就かなければならず、何が起きても対応しなくてよいというわけでないとしたら、「手待ち」となり、使用者の指揮命令下に置かれていることになります。
また、休憩時間中は労働から完全に解放されていなければなりませんので、休憩中の来客の応対や電話当番をするために待機する場合には、仮に来客や電話がなかったとしても、労働時間に含まれます。警備員の例でも、休憩中に何らかの出来事が発生した場合は警備に就かなければならないとしたら、「手待ち」となり、労働時間と認められます。
したがって、手待ち時間を含めれば残業したことになる場合は残業代が発生します。