建物所有を目的として土地を賃貸借するとき

 建物所有を目的として土地を賃貸借するときは、土地賃貸借契約書において、土地や建物を特定し、賃料や敷金の額、連帯保証人などを定めた上で、借地権を設定します。

 賃料を増減額するのは契約内容の変更となります。公租公課の増減、土地の価格の上下、経済事情の変動、近傍類似の地代との比較により賃料額が不相当となったときは、地代額の増減を請求することができる旨の条項を入れておきましょう。

 借地権の存続期間は、借地借家法では原則として30年とされていますので、契約書にその期間を定めてもよいですし、30年より長い期間を定めることもできます。

 借地借家法では、更新後の期間は、原則として更新の日から10年、最初の更新については20年とされていますが、これより長い期間を定めることもできます。契約更新をする際、更新料の支払いを定めていなければ、借地人に更新料の支払義務はないので、必ず更新料の支払条項を入れるようにしてください。更新料の額については、借地の場合は更地価格に借地権割合(路線価図参照)を乗じた金額(借地権価格)の5%前後といったところです。これに対し、定期借地権を設定すると、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がなく、借地人の建物買取請求権がないのですが、存続期間は原則として50年以上となります。

 借地上の建物の増改築について、この禁止条項が入っていなければ、借地人は自由に増改築をすることができます。契約締結の際には、増改築禁止条項が入っているのかを必ず確認しましょう。地主の承諾は書面によるものとし、借地人が承諾料を支払うことも盛り込んでおいた方がよいです。承諾料の額は、基準があるわけではありませんが、全面改築の場合で更地価格の3~5%が相場といえます。

 民法上、賃借人は賃貸人に無断で賃借権を譲渡したり、転貸したりすることはできないのですが、誤解が生じないよう、契約書においても、これらの禁止を明記しておきましょう。逆に承諾料を定めて賃貸人の事前承諾条項を入れることも考えられます。承諾料の金額は借地権価格の10%程度が相場でしょう。

 なお、建物所有を目的としない場合(資材置き場など)や一時使用の場合は借地借家法の適用はありませんので、留意してください。

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