事務所や店舗として建物を賃貸借するとき

 建物賃貸借契約書においては、建物を特定し、賃料や敷金の額、期間、更新料、連帯保証人などを定めます。更新料の金額は、借家の場合、賃料の1~2か月分というのが多いでしょう。その他、建物の修繕の範囲、賃貸人の建物内への立入・調査権、解除事由などを定めます。

 賃借人が業態の全く異なる営業をし、賃貸人が想定していなかった顧客が出入りすることがないよう、建物賃貸借契約書には使用目的を明記し、その変更を禁止するとともに、用法を変更する場合には賃貸人の書面による承諾を要するとの条項を入れておきます。

 このことは造作に関しても同様です。造作については、賃貸人としては造作買取請求を認めず、建物明け渡し時に造作を撤去する条項を建物賃貸借契約書に入れた方がよいです。逆に賃借人として、造作の撤去に費用がかかり、これを持ち出すことを希望しないのであれば、賃貸人の承諾を得て設置した造作は撤去を要しないとの条項を建物賃貸借契約書に入れておきましょう。

 民法上、賃貸人に建物の修繕義務があるのですが、建物賃貸借契約書において、微少な傷、大破した場合、賃借人に原因がある破損については、賃貸人が修繕義務を負わないことを明記した方がよいです。

 改正後の民法は、賃借人は通常の使用および収益によって生じた建物の損耗や経年変化について原状回復義務を負わないことを定めています。したがって、居住目的の借家契約では、通常の方法で使用したことにより生じた損耗の原状回復義務を賃借人に負わせる条項を定めても、建物賃貸借契約書に「汚損、損耗の補修」、「清掃」と書いてあるだけでは特約の成立は認められません。事業用建物賃貸借においても、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲を具体的に明記しておきましょう。あるいは、敷金を償却して通常損耗補修費用に充てる敷引金の額を建物賃貸借契約書に明記しておくと、後から費用を請求するよりもトラブルを防止できます。

 敷金については、賃貸人としては、建物賃貸借契約書において、賃料の増額に応じて敷金も増額させる条項、中途解約時の敷金放棄条項を設けておいた方がよいです。改正後の民法は賃貸借契約中でも賃貸人側から敷金を未払賃料等の債務の弁済に充てることができると定めていますが、このことを契約条項でも明記しておきましょう。他方、改正後の民法では、賃借人側から敷金を未払賃料等の債務の弁済に充てることを請求することはできないのですが、これを認める条項を入れると有利です。また、改正後の民法は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに敷金返還請求権が発生すると定めています。そこで、賃借人としては、建物の明け渡しと同時に敷金を返還してもらう条項を入れると有利になりますが、少なくとも明け渡し完了後の敷金返還時期を明記させた方がよいでしょう。

 借地と違い、借家においては、比較的短期間で賃借人が解約を求めてくることがあるので、賃貸人としては、建物賃貸借契約書において、中途解約を禁止し、それでも賃貸人が中途解約を求める場合は、3か月以上の解約申し入れ期間を定めるとともに、一定期間の賃料合計額などを違約金として支払う条項を入れておいた方がよいです。

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