教室内のロッカーから転落した事故の損害賠償・慰謝料

 小学5年生が図画工作の授業中に絵画の作品を完成したことから、担任教諭にその旨告げたところ、教諭から教室後方に設置されたロッカーの上の壁に掲示するよう指示を受けたので、教諭の監督がないまま、ロッカーの上に一人で登って自己の作品を掲示し、その作品を貼り終えた後、バランスを崩して転落し、教室の床に頭部を強打したことにより脳挫傷を負い、入院と通院の治療をしました。この場合、児童は、学校運営者に対し、慰謝料などの損害の賠償を請求することはできるのでしょうか。

 担任教諭は、学校教育における授業の際には、事故の予防に注意して安全第一を中核とし、常に児童の動静を把握し監視を怠ることなく、指導を行うべき安全配慮義務を負っています。とりわけ教諭の指示して児童に高所での作業を行わせる場合には児童が転落事故を起こす危険が高いので、教諭が作業の監督をして、児童の転落事故を未然に防止するとの安全配慮義務を負っています。

 担任教諭は、授業中の教室内で何ら安全を確保せず、自ら監督することなく児童にロッカー上での掲示作業をさせました。ロッカー上での作業中に児童が転落事故を起こすことは、学校生活において通常発生することが予測できるのであり、担任教諭が、安全を確保し、その作業を監督していたならば起こり得なかったものですから、安全配慮義務に違反したとして、児童は学校運営者に慰謝料などの損害賠償を請求することができます。

 授業中の事故ですから、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付(医療費)が支給されますが、慰謝料に相当する給付はありません。児童が小学校に通っている間は損害賠償請求をしにくいかもしれませんが、請求しなければ3年の消滅時効が成立するおそれがありますので、お早めに弁護士にご相談ください。

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