シリーズ働く人を守る 精神疾患・過労死〈第2版〉
2012年に刊行した『シリーズ働く人を守る 精神疾患・過労死』(中央経済社)はご好評いただきまして、御礼申し上げます。2015年5月、第2版を上梓いたしました。
もともと本書は一般向けに執筆したものですが、第1版は専門書として2010年に上梓した『労災・過労死の裁判』(日本評論社)に影響を受けて法律論が多かったので、第2版は法律論を労働者が興味を持ちそうな箇所に絞る一方、裁判例を多く紹介しました。
そのため、改訂版では珍しいかもしれませんが、約50ページの削減をしました。
それでも、法令や裁判例をアップデートしていますし、地方公務員の過労死裁判例については地方公務員の章に記述を独立させて読みやすくしましたので、第1版をお持ちの方でもご満足いただける内容ではないかと自負しております。
■第1章 労働基準法や労働安全衛生法等の法令、行政の指針・通知を活用した過労死予防やメンタルヘルスケアを予防医学的観点から整理し、解説しました。
■第2章 過労死が発生した場合の企業責任に関する裁判例の傾向を解説しました。
■第3章 過労死の補償として、政府管掌の労災保険に関する制度や行政の基準、不服審査制度を解説し、請求の実務を詳しく述べました。
■第4章 被災労働者の疾病や死亡を「業務上」と認め、労働基準監督署長の労災保険給付不支給処分を取り消した裁判例の傾向を解説し、行政と司法の判断が異なることを明らかにしました。
■第5章 健康破壊が増加している地方公務員の災害補償制度や予防措置を概説しました。公務災害の認定指針だけでなく、裁判例も新たに紹介しています。
労働者の生命と健康を守る取り組みが進んでいく、本書がその一助となれば幸いです。